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日本生物物理学会による出版活動

日本生物物理学会では、多くの書籍を出版しております。今まで編集してきた書籍については以下のリストをご覧ください。また、日本生物物理学会は、日本生理学会誌「Journal of Physiological Sciences」の編集にも参画しています。

生物物理学は,生命科学の分野に最新の物理的手法を持ち込むことで,生体内で営まれている驚くべき現象を次々に明らかにしています.本書では主に,前作「生物物理の最前線」出版以降に明らかとなった最新の研究成果が,やさしく解説されており,生物物理学の入門書としても最適です.
  • 第1章 『21世紀は生物の世紀』か? 
  • 第2章 ゲノム計画のもたらすもの 
  • 第3章 生物らしい分子の姿・形を見る 
  • 第4章 分子でできた究極の微小モーター 
  • 第5章 生物における光エネルギー・光情報 
  • 第6章 細胞の物質輸送と信号伝達 
  • 第7章 働く脳と変化する脳 
  • 第8章 一分子観測・一分子操作による生物の理解 
  • 第9章 生物物理とコンピュータ 
生物物理学(バイオフィジックス)は,生命を物理科学的に理解するとともに,その応用を目指す学問であり,その対象は分子・細胞・個体・集団の全域にわたる.分子や膜の構造と機能,細胞情報変換,エネルギー変換,運動機能,形態形成,脳機能などを実験と理論の両面から解明しようとしている.第1期・全11巻に続き,次世代を担う若い世代に,生物物理学の重要性と面白さを分かりやすく伝え,21世紀の生命科学の旗手になってもらいたいという願いを込めて企画された.考え方や研究方法の要点を予備知識なしに読み通せるように工夫するとともに,研究者自身が何が面白くて何を 目指しているのかを生き生きと伝えられるよう努力した.
古い時代の生体エネルギー変換の研究では,能動輸送するプロトンと高エネルギー分子ATPが主役であった.しかし近年,生体エネルギー変換の中核をなす光合成アンテナ系・反応中心,チトクロムbc1複合体,チトクロムc酸化酵素などの巨大膜タンパク質の構造が明らかにされ,さらに各種最先端分光技術・遺伝子操作技術を駆使した実験的研究および理論的研究によって正確な電子の流れの様子がかなり精密にわかってきた.その結果,生体エネルギー変換を支えているのはプロトンではなく,電子の運動であることが広く認識されるようになった.電子やプロトンの運動をもとに生体エネルギー変換の仕組みにせまる本巻の内容は生物物理学的研究の一つの典型として捉えることができるであろう.
  • 序 章 電子と生命-新しいバイオエナジェティックすの展開-
  • 第1章 光エネルギーをとらえ反応の場所に運ぶ
    • 1-1 多様なアンテナ系
    • 1-2 紅色光合成細菌のアンテナ系における励起エネルギー伝達の機構
  • 第2章 電子の方向性のある移動
    • 2-1 光合成反応中心-電子の源流
    • 2-2 植物における水の電気分解
    • 2-3 植物における高還元物質の生成
  • 第3章 プロトンの方向性のある移動
    • 3-1 キノンを介した電子とプロトン移動のカップリング
    • 3-2 シトクロム酸化酵素における電子とプロトン移動の共役
  • 第4章 バイオテクノロジーへの展開
    • 4-1 光合成材料を用いたデバイス開発
    • 4-2 遺伝子操作で環境耐性植物をつくる
水は本当に神秘的だろうか.一般に小さくて軽い分子は常温常圧で気体であるが,唯一の例外が水である.この例外は水分子間の強い相互作用から生まれ,水に特別な性質を付与する.水はあらゆる他の物質をよく溶かす.さらに水の中では実に様々な化学反応が容易に進行する.常識的すぎてかえって見えないこの事実が実は物質にない水の固有の性質,神秘である.本書では水のこの根源的な性質が,生体でどのように使われているか,生体高分子から生理機能にわたって化学熱力学の定量的な言葉で記述することを試みた.
  • 序 章 水から始まる生理機能の熱力学
  • 第1章 水和エネルギー
    • 1-1 水和・溶媒和と表面積 -その基礎をめぐる混乱と論争
    • 1-2 水和の熱力学 
    • 1-3 イオンと水
  • 第2章 生体分子と溶媒和
    • 2-1 タンパク質の選択的溶媒和
    • 2-2 生体膜の溶媒和
    • 2-3 タンパク質の熱力学的状態数
  • 閑話休憩「おいしい水,おいしい酒」
  • 第3章 水と生理
    • 3-1 水和と筋収縮
    • 3-2 細胞の容積調節
    • 3-3 表皮角層水分保持機能
すべての生命活動のエネルギー源であるATPがどのように作られるかという命題に,化学浸透圧というきわめて明快な概念を与えたのがP.Mitchellであるが,この概念の背景となる分子実体が明らかになるまで,生体エネルギー論は一般にはなじみの薄い分野であった.現在までにこれら多くの分子実体が,イオンポンプやトランスポーターとしてタンパク質および遺伝子の両面から明らかにされ,さらに,電子線解析やX線結晶学によってその構造が明らかになり,反応機構の一部が模式的に表されるようになった.本書では,HやNa,Kなどを輸送するイオンポンプや糖,アミノ酸,ATP,薬剤などの有機分子のトランスポーターに関して,それらの分子実体,輸送反応の構造に基づいた分子機構,調節機構や他の因子との相互作用などについて紹介し,研究の歴史的背景や今後の展望について概説する.
  • 序 章 イオンポンプとトランスポーター
  • 第1章 イオンポンプ
    • 1-1 ATP合成酵素 回転するポンプによるエネルギー変換機構
    • 1-2 P型ATPaseによる細胞生理の制御
    • 1-3 複合体・と複合体・の構造と作動機構
    • 1-4 オキシダーゼ 酸素呼吸を支える分子装置の分子進化と作動機構
    • 1-5 バクテリオロドプシン 光エネルギーを利用するプロトンポンプ
  • 第2章 トランスポーター
    • 2-1 大腸菌ラクトーストランスポータ 溶質輸送の分子基盤を探る
    • 2-2 グルコーストランスポータートランスポータ 研究の一断面
    • 2-3 アミノ酸トランスポータ 基質認識の多様性を生みだす分子基盤
    • 2-4 ミトコンドリアADP/ATPトランスポータ ATP合成に不可欠なヌクレオチドの輸送機構
    • 2-5 異物排出トランスポータによる環境適応戦略の分子機構
    • 2-6 Na+駆動性交換輸送体 細胞内イオン環境を制御する巧みな分子装置
最近,ドメイン形成や多形構造など,集団として挙動することによってはじめて現れる脂質膜の物性・ダイナミクスが,多くの生体膜の形態形成・機能発現に関与していることが注目されている.今までシンガー&ニコルソンモデルにイメージづけられた「流動的で均一な」生体膜の概念を刷新し,「生体膜とは,特定の機能ドメインを持った,二次元的にも三次元的にもヘテロな構造体であり,流動的な状態とヘテロで硬い状態とのダイナミックな位相変化が,細胞のいろいろな生理機能発現に関わっている」という新しい概念を示した.
  • 序 章 生体膜のヘテロ構造と膜中および膜上における動的相互作用
  • 第1章 脂質膜の物性
    • 1-1 脂質膜におけるドメイン構造形成
    • 1-2 脂質の多形構造
    • 1-3 膜タンパク質の結晶化
  • 第2章 脂質膜における分子識別
    • 2-1 脂質膜上における分子認識
    • 2-2 生体膜上における分子認識:タンパク質の透過膜システム
  • 第3章 細胞膜の構造と機能発現
    • 3-1 脂質膜のダイナミクスと細胞機能
    • 3-2 細胞内小胞輸送ネットワークにおけるゴルジ体のダイナミクス
    • 3-3 細胞膜タンパク質と膜骨格・細胞骨格の相互作用
    • 3-4 シナプスの膜裏打ち構造と情報伝達
    • 3-5 細胞膜の変形と細胞応答
生体は停止することのない非常に動的なシステムである.また,その形が機能と密接に関連しているシステムでもある.これらの特性は分子から細胞,個体,生態系に至るすべてのレベルでつらぬかれている.現在,生物学はポストゲノム時代に向けて,プロテオーム(個体を構成するタンパク質の1セット)解析をめざした戦略がねられている.その際,生命現象の本質的理解のためには,構成要素間の反応経路の解析だけでは不十分なことは明らかである.つまり,細胞内には多種類の異なった機能をもつ膜小胞や超分子システムがあり,それらは変形,分裂,融合,移動してこそ機能を存分に発揮出来るのである.したがって,これらの細胞内器官を輸送し,空間的に配置する細胞骨格のネットワークが生命活動に必須である.また,このネットワークは細胞全体の形をコントロールすることによってシステム全体の効率を最適化し,細胞が好ましい環境に移動する運動を可能にするものでもある.細胞骨格ネットワークこそが,生物を生物たらしめているものといっても過言ではない.本書では,生きものの単位ユニットである細胞のレベルに焦点をしぼり,その三次元的形態の構築と動きのメカニズムに関する最新の研究を紹介する.
  • 序 章 細胞のかたちと動きを司る線維・細胞骨格
  • 第1章 細胞を構築する基本素子のふるまい
    • 1-1 ミクロフィラメントのダイナミクス
    • 1-2 微小管の形成・解体とその制御
    • 1-3 細胞骨格と膜による細胞モデルの構築
  • 第2章 変幻自在なる細胞変形のからくり
    • 2-1 細胞変形のしかけ――アメーバ運動
    • 2-2 力学的応答としての細胞骨格の再編成
    • 2-3 細胞分裂と染色体の運動
  • 第3章 細胞の移動と輸送のしくみ
    • 3-1 神経軸索における輸送システム
    • 3-2 真核生物のべん毛・繊毛運動
    • 3-3 細菌のべん毛
本巻は「生物の形は自己構築により形成される」という考えを基盤にして編纂された.たとえば,砂山の斜面が呈する曲線や,砂丘の風紋に見られる縞模様,正六角形を基本とした雪の結晶パターンなどはいずれも自然界で行われる自己構築の結果である.自己構築は無機物の世界に限ったことではない.生物では遺伝子が自己構築の材料と場を設定して自己構築が演じられ,そのあと次の設定が続くと考えてよい. 自己構築は物理化学的現象である.そこでは数学や物理学などの数理的手法が重要な役割を果たしてきた.したがって,生物の形の研究にも数理が必要になる.これまで生物学は生化学に代表されるような化学が大きな役割を果たしてきた.そしていま,これに数理が加わるのである.遺伝子産物が出そろっただけでは生物の形はわからない.わかるには多くの場合数理が必要である
  • 序 章 袋で行われる自己構築
  • 第1章 自己構築の基盤
    • 1-1 バクテリアコロニーが形成するパターン
    • 1-2 自己構築する曲面
    • 1-3 均一の集団の中から生じる自発的パターン
  • 第2章 袋の表面で起こること
    • 2-1 細胞間接着・細胞間誘導による細胞の配置
    • 2-2 上皮組織がつくる幾何学的細胞パターン
    • 2-3 アンモナイト殻の形づくりを再現する
  • 第3章 袋に包まれたもの
    • 3-1 血管分岐系形成の数理モデル
    • 3-2 神経細胞が自分の目的地にたどり着く機構
    • 3-3 力学環境下での自己構築
  • 第4章 袋を越えて
    • 4-1 樹形形成のメカニズムを枝の挙動にさぐる
現在の分子生物学においては,生命のある現象を分子まで遡ってその原因を求め,その分子に対応する遺伝子の組合せとして生命を理解しようとしており,その生命観はある意味,たいへん機械的である。もちろん,現在の生物に,かちっと決まる論理機械の面があることは否定できない。しかし,そのような機械的な側面からのゆらぎは現に存在する。これはどうやって説明すればよいのだろうか。こういった生物のゆらぎをふまえて,生命を部分と全体の間の相補的な関係としてとらえ,「生命がシステムとして働いている」ための見方をつくろうというのが複雑系生命科学の目的である。そこでは,個々の要素からなるシステム全体の性質が決まって,逆に個々の要素の性質が与えられていくという,ダイナミックな循環を真剣に扱いながら生命システムの特性を明らかにしようとしている。しかし,複雑システムとしての生命の研究は,まだ完全に確立したものではない。むしろ,本書を通して,新しい立場をつくるための試みが提示され,今後の生物学の方向が探られる。もちろん,生物は多様であり個性的であり,簡単な普遍的論理で記述され尽くすことはできないかもしれない。しかし,そうした多様性や個性が何故普遍かといった問い自体は普遍的なものである。システムとして生命の特性を明らかにしていくことで,「生きているとは何か」という究極の問いへ迫る。
  • 第1章 複雑系としての生命システムの論理を求めて
  • 第2章 発生過程のミクロ-マクロ関係性――モデル生物・細胞性粘菌からのアプローチ
  • 第3章 細胞分化の動的モデル ――細胞社会の現象論的理解をめざして
  • 第4章 大腸菌を用いた実験室内進化
  • 第5章 粘菌,とくにその個体性
  • 第6章 対談 構成的生物学
  • 第7章 自主,自発と個体差
生命の起源と進化は,従来,物理学というより化学あるいは地球生物学の視点から,時には高度の数理科学的視点を取り入れてきた.本書は,地球生物学的視点はなるべく排除し,個別的に付随する副次的現象にとらわれないために,進化現象の普遍性を重視し,実験室における単純化された系に対する進化実験のデータを重視した.
  • 序 章 生体高分子の『進化能』の物理
  • 1章 分子機能の起源
    • 1-1 ゲルの相転移と生命の起源
    • 1-2 化学進化の物理
  • 2章 情報の物理的起源
    • 2-1 RNAワールド仮説
    • 2-2 擬種と中立ネットワーク地形
    • 2-3 タンパク質の適応度地形
    • 2-4 遺伝子型と表現型対応づけとウイルスの役割
  • 3章 分子機能・情報の効率的な獲得
    • 3-1 アミノ酸コードの成立と進化
    • 3-2 出発点の選択:原始遺伝子
    • 3-3 配列空間内の移動法:突然変異
    • 3-4 進化における性の役割
    • 3-5 分子進化の階層性:モジュールシャフリング仮説
    • 3-6 抗体の分子進化と酵素機能の創出
バイオテクノロジー,情報技術(IT)と並んで最近テレビや新聞でも話題になっているのがナノテクノロジーである.人類が文明の中で創り出してきた機械は,メートルのサイズからセンチメートル,ミリメートルへとだんだんと細かく精緻になってきた.パソコンやテレビゲームの心臓部であるCPUの内部ではマイクロメートルを越える精度の加工が施されるようになり,また走査トンネル顕微鏡を応用して金属原子の一つ一つを思いのままに動かすことができる技術も登場した.フラーレンやカーボンナノチューブなどのナノメートルの太さを持つ新たな材料も注目を集めている.ナノメートルサイズの技術が21世紀の産業を支える新たな技術として期待されるのは当然であろう.
 実は生物は何十億年も前から,このナノメートルサイズの世界でのノウハウを蓄積してきている.マイクロメートルのサイズの細胞で,ナノメートルやこれ以下のサイズの分子や原子・イオンなどを扱うためには,ナノメートルの大きさの道具がどうしても必要であった.特定の分子や原子だけを強力に結合し,特定の反応だけを迅速に起こさせるために,生物が長い進化の中で育て上げたナノメートル技術の粋が生体ナノマシンである.生体ナノマシンの設計には,「検証」あるいは「評価」という過程が重要な位置を占める.より確実な設計をめざすためには,設計されたマシンの形や性能,働きをなるべく多面的に調べて,設計の効果を検証することが必要になる.そして,なぜそのような結果になったのかを,より深く探る研究に必然的につながることになる.これは,生体ナノマシンに関する科学そのものであり,現代の生物物理学の最も重要な研究分野の一つである.検証の段階を「設計」に含めて考えるならば,現代生物物理学のあらゆる知識や技術が,生体ナノマシンの分子設計に生かされることになる.
  • 序 章 生体ナノマシンの物理学
    • 1 生体ナノマシンの物理的特徴
    • 2 進化する生体ナノマシン
    • 3 生体ナノマシンの有用性 
    • 4 生体ナノマシンを設計する
  • 第1章 生体ナノマシン分子設計の戦略
    • 1-1 タンパク質立体構造のデザイン
    • 1-2 物理的摂動法による高機能化
    • 1-3 分子進化の方法
  • 第2章 生体ナノマシン設計の最前線
    • 2-1 酵素反応の合理的分子設計
    • 2-2 人工タンパク質の合理的設計
    • 2-3 ペプチド立体構造の設計
    • 2-4 抗体の分子設計
    • 2-5 イオンチャネルの設計
    • 2-6 リボザイムの分子設計
    • 2-7 進化分子工学による酵素の高安定化
生物物理学は,生命のあらゆる現象に興味をもつたいへん欲張りな学問である.生命科学における20世紀最大の成果は,遺伝子DNAの発見である.この発見によって,生命の起源,進化,細胞・個体のきのう,疾病の機構など,生命の基本的機能・機構の背後に遺伝子とタンパク質という明瞭な物質の働きがあることが明らかになり,今日の分子生物学の隆盛がある.しかし,すべての遺伝子とコードされるタンパク質の正体がわかればすべての問題は解決するのであろうか?残念ながらそう簡単ではない.本巻の主旨は,生物物理学の現在の達成点を位置づけ,先のゴールに近づくために近未来に何をなすべきかを一線の研究者にできるだけ素直に吐露してもらおうということである.第1章は,研究者の本音を俯瞰することによって,「生物物理学とはなにか」という疑問に答えようという試みである.優れた研究は普遍性や再現性をもつとともに,その研究者しかなしえない個人性,独創性,芸術性を内包している.基礎科学が個人の営為に基づくことは言うまでもないが,一方で研究の学際化と巨大化によって,費用のかかるプロジェクト型研究チームに比重が傾きつつあるのも事実である.第2章では,これらの問題を分析する中で総体としての生物物理学の将来を考察する.第3章では,研究者に,この学問分野と個人としてのかかわりを自由に書いていただくことによって,その秘密の香りを読者に嗅いでもらおうという主旨である.
  • 第1章 生物物理がめざすもの
    • 1-1 生物物理は何をめざすか―生物機械論と生物らしさ
    • 1-2 基本高分子:タンパク質
    • 1-3 基本高分子:核酸・ゲノム・遺伝子
    • 1-4 細胞機能:受容体―明順応した時の感度と雑音の問題
    • 1-5 細胞膜シグナリングシステムの動作機構:1分子生物物理学によるアプローチ
    • 1-6 エネルギー変換:1分子ナノテクノロジーと分子モーター
    • 1-7 エネルギー変換:ATP合成酵素
    • 1-8 高次機能:脳の物質系のメタ学習モデル
    • 1-9 高次機能:発生を制御する原理とは
    • 1-10 理論生物学:バイオインフォマティクス
    • 1-11 理論生物学:理論生物物理学
  • 第2章 生物物理学を支えるもの
    • 2-1 日本の生物物理学の歴史と展望
    • 2-2 世界の生物物理学
    • 2-3 生物物理学の研究体制
    • 2-4 生物物理学の研究と教育―進化学論と実践的学問のすすめ
    • 2-5 生物物理学への期待―新しい機能生物学を目指して
  • 第3章 生物物理学と私
    • 3-1 生物物理とはなにか?―個人の研究史(べん毛モーターに生きる)
    • 3-2 生物物理とわたし―生物物理の極意は面白さ
    • 3-3 生物物理学の「追っかけ」の一人として―生物物理は異星人の集まり
    • 3-4 私の生物物理学―生物物理はHowの世界
    • 3-5 ゆらぐ生物世界―進化の仕組みを内蔵か
    • 3-6 私のとっての生物物理
    • 3-7 タンパク質に訊いてみる
    • 3-8 生物物理学―受け継ぐ革命のスピリット
    • 3-9 ヘモグロビンの研究に生物物理の限界を見る
    • 3-10 生物物理学と私―物理から生物学へそしてまた物理学へ
    • 3-11 試験管の世界と細胞の世界―細胞のスケールで考える
 生命は地球上に誕生して以来,母なる太陽の光により育まれてきた.生物は生命を維持していくためのエネルギー源として,適切な生育環境を獲得するための情報源として光を利用している.
 光生物学はこうした光と生命とのかかわりを理解することを目指した学問である.動物の視覚,植物の光合成などがその代表例であるが,生物と光とのかかわりはもっと多様である.動物は眼だけでなく脳や皮膚で光信号を感じ,太陽の光の周期や強度に適応している.植物は光信号により発芽,形態形成を調節している.生物の進化にも光が深くかかわっている.進化の頂点にたつヒトがフロンなどの新化学物質を作り出したことで地球のオゾン層が破壊され,生物に深刻な紫外線傷害を生じている.光は一方,がんや心の治療など多くの医学治療の有力な手段として注目されている.
 光学技術の最近の発展は目を見張るものがある.極微弱光の検出法の発展や,太陽光をはるかに越える高輝度光源の出現により,生命現象の秘密のベールが一枚一枚はがされようとしている.光生物学ではこのように「光によりひき起こされる生物現象」だけではなく「光による生命現象の解明」に新しい展開がみられようとしている.光生物学は「光が拓く生命科学」を先導する役割を担っている.光と生命のかかわり合いは,多くの学会(光医学,放射線影響学,眼研究,生化学,生物物理学,化学,光化学,動物学,比較生理生化学,植物学,植物生理学,光合成,農芸化学など)により進められてきた.わが国ではこれらの学会が協力して「光生物学」を振興する目的で日本光生物学協会を運営している.
 本シリーズは,日本光生物学協会の啓蒙活動の一環である.光生物学が新しい発展を迎えようとしている今,「光が拓く生命科学」の現状と将来の夢を,わが国の第一線研究者から皆様に伝えたい.
本シリーズは,専門を選択する前の若い世代や一般の読者に理解出来るよう分かりやすく解説しているが,研究者にも十分読みごたえある内容を意図している.
生命は光とともにある.生物は地球に誕生して以来,生命を維持していくためのエネルギー源として,あるいは適切な生育環境の情報源として光を用いてきた.最近の研究によれば,生命と光とのかかわりは,私たちが考えている以上に多岐に渡っていることが明らかになってきた.本巻ではこうした光と生命とのかかわりの中で,生物が光環境からの情報を受け取る仕組みに焦点を絞って解説.
  • 第1章 見る
    • 1-1 昼と夜での見る仕組みの違い
    • 1-2 色はどのようにして見えるのか
    • 1-3 植物の光センサー
  • 第2章 体で感じる光
    • 2-1 脳内光受容体とその役割
    • 2-2 体色変化と光センサー
  • 第3章 生物時計は光でスイッチオン
    • 3-1 植物の生物時計
    • 3-2 動物の概日時計
    • 3-3 動物はどのように季節を知るか
  • 第4章 光と生物の行動
    • 4-1 視物質をもつ微生物の光行動
    • 4-2 暗闇に棲む生物の光交信
    • 4-3 アゲハの交尾器光センサー
地球生命の進化は「光」というキーワード抜きには語ることができない.現在では光とは直接関係ないように見える事柄も,進化を遡ると意外にも光と密接に関わっている場合がある.また,オゾン層の破壊も,生命進化という観点から見ることによりはじめて問題の重要性が明らかとなる.光環境の変化はまた,生物進化の結果でもあり,変化した環境によりさらなる進化がひき起こされてきた.本書では「光」を合い言葉に生命の進化が語られる.そこでは,光合成生物の共生が繰り返されるダイナミックな進化のドラマが展開する一方,視物質レチナールと情報処理機構としての脳の進化に支えられた,光情報処理の精緻なメカニズムを目にすることになる.さらに進化の結果,光環境を自ら演出できるようになった生物発光の世界も垣間見る.
  • 第1章 地球の光環境史
    • 1-1 地球の光環境と太陽
    • 1-2 オゾン層の形成と紫外線
    • 1-3 地球生態系と光環境
  • 第2章 光環境と生物の進化
    • 2-1 光合成生物の起源とその進化
    • 2-2 昆虫の進化とレチナール
  • 第3章 光環境と分子進化
    • 3-1 視物質と分子進化
    • 3-2 葉緑体の起源と進化
    • 3-3 生物発光の多様性とその進化的考察
  • 第4章 光環境の光情報処理機構の進化
    • 4-1 光シグナル伝達の多様性と進化
    • 4-2 眼と脳の進化
    • 4-3 霊長類の進化
太陽系の惑星の一つである地球上の"生命"は,母なる太陽からもたらされる"光"と本質的なかかわり合いを持っている.その一つの局面は,光合成に代表されるエネルギー源としての光の利用である.一方,生命は情報源としても太陽の光を多面的に利用していることがよく知られている.それら生命としての営みや光合成の効率は,直接的または間接的に,光によりコントロールされている.本書では,これらの分野での最近の研究成果のエッセンスをとりまとめた.またグローバルな視点から,地球温暖化など地球環境変化の地球生態系への影響や,究極の化学反応といわれる人工的光合成の実現の可能性などについて論じている.
  • 序 章 生命は光から,そして光とともに―食物連鎖と地球生命系
  • 第1章 光を求めて
    • 1-1 光で目をさます―光発芽
    • 1-2 光によるかたち作り―光形態形成
    • 1-3 光を求めて曲がる―光屈性
  • 第2章 光の捕獲とエネルギー変換―もっと光を
    • 2-1 光を捕らえる―アンテナ色素系
    • 2-2 光を電子の流れに―光化学反応中心における光エネルギーの変換
    • 2-3 光をプロトンの流れに―バクテリオロドプシンにおけるエネルギー変換
  • 第3章 光を糧に―光合成のメカニズム
    • 3-1 偉大なる副産物"酸素"―光合成における酸素発生
    • 3-2 光合成と呼吸に共通する反応の仕組み―電子伝達とプロトン輸送
    • 3-3 無機物から有機物へのリサイクル―光合成における炭素・窒素・硫黄の同化
  • 第4章 光を人類の未来のために―グローバル光合成
    • 4-1 サテライトから見る地球の生態系
    • 4-2 公害なき化学工場―人工光合成
    • 4-3 地球温暖化と光合成
  • 用語解説
生物は太陽の光を浴びて進化し現居住区の光環境に順応しながら生存している。その中で特筆すべきは,30億年以上の長い進化の過程で,光障害を防御する機能を獲得したことである。しかし近年の成層圏オゾンの破壊による光環境の変化は,生態系のバランスをくずし異常な事態に向かう可能性を秘めている。本書では,第1章でオゾン層破壊と地上の太陽紫外線環境を展望し,第2章では生物が進化の過程で獲得してきた紫外線障害の修復機能を,第3章では皮膚にターゲットを絞り,皮膚と光,特に紫外線が皮膚に与える損傷と防御機構について,第4章では人体をマクロにとらえ,健康にかかわる眼の光障害,光老化,光ストレスなどの今日的話題を,第5章では生物の遺伝情報が光障害とどうかかわるかをDNAの目で見る.
  • 第1章 オゾン層破壊と地表の太陽紫外線
  • 第2章 生物は紫外線障害をどう修復するか
    • 2-1 原核生物の紫外線障害と修復
    • 2-2 植物の葉はなぜ日焼けしないのか?
    • 2-3 環境紫外線に対する微生物の応答とバイオセンサーとしての利用
  • 第3章 皮膚の光障害と防御機構
    • 3-1 光ではじまる皮膚障害―サンバーンとサンタン
    • 3-2 免疫抑制の仕組み
    • 3-3 紫外線による皮膚発がん
  • 第4章 健康と光障害
    • 4-1 眼の光障害―白内障と雪目
    • 4-2 皮膚の光老化はなぜ起こる―光に当たらなければ老けない
    • 4-3 光と精神機能
  • 第5章 遺伝情報をまもる
    • 5-1 DNA損傷・修復の化学プロセスと機能
    • 5-2 紫外線とアポトーシス
  • 用語解説
本書は光による生体への影響,光による多くの疾患の治療,診断などの最前線をわかりやすくまとめたものである.光には可視光,紫外線,レーザー光などがあり,その各々の特色を生かした治療が臨床医学のなかで活躍している.いずれを用いた治療も手術治療に比べると生体への侵襲が少なく,安全であるため今後ますますその適応は増すものと考えられる.光は医学診断にも重要な役割を果たしており,光が生体にこれほど貢献していることを本書からご理解いただきたい.
  • 第1章 光による心の治療
    • 1-1 光と人の概日リズム
    • 1-2 冬季うつ病を光で治す――光と脳内神経機能
  • 第2章 光による新生児黄疸の治療
  • 第3章 レーザー光治療
    • 3-1 レーザーで近視を治す
    • 3-2 糖尿病網膜症のレーザー治療
    • 3-3 レーザーで歯を治す
    • 3-4 レーザーによる"あざ"の治療
    • 3-5 レーザーによるがん治療
  • 第4章 光による医学検査
    • 4-1 化学発光を用いた検査技術
    • 4-2 光による網膜機能検査――網膜電図(ERG)
  • 用語解説
ちょうど100年前レントゲンによるX線の発見が非侵襲診断の道を拓いたように,“光診断”は21世紀の新しい夢の医療技術となるだろう.たとえば“光造影剤”がX線撮影でのバリウムの役割を果たしたり,“遺伝子造影剤”によって,病気に関係した遺伝子発現の画像診断などが可能となる.光診断の幕開けは近い.
  • 序 章 光診断法の新技術の展望
  • 第1章 光で身体を探る
    • 1-1 光と生体――生体分光学への招待
    • 1-2 光と病態――光診断法の基礎と応用
  • 第2章 蛍光で生体を見る
    • 2-1 神経の活動を光で追う
    • 2-2 金属イオンのはたらきを光で追う
    • 2-3 蛍光を用いた病気の診断
  • 第3章 近赤外光の医療への応用
  • 第4章 MRI――磁場と電磁波による医療画像診断
    • 4-1 MRIで脳を見る
    • 4-2 MRI で身体の機能と代謝を探る
  • 第5章 γ線で体の中を見る―PETとSPECT
    • 5-1 PETとSPECTによる脳機能画像診断
    • 5-2 PETによる脳機能画像診断
最近の光学顕微鏡周辺技術の進歩には目を見張るものがある。新しい顕微鏡技術、新しい機能性蛍光試薬の開発、蛍光標識技術の進歩が、生命科学研究に新しい潮流を作りつつある。本書は、その技術開発と研究の最前線で活躍している研究者が、最先端の研究成果だけでなく、基盤となる基礎技術や原理について書き下ろした解説書。
  • 第1章 光テクノロジーの基礎
    • 1-1 色々な光の作り方
    • 1-2 微弱光を測る
    • 1-3 生物光学顕微鏡の基礎
  • 第2章 狙った分子を光らす
    • 2-1 タンパク質を光らす
    • 2-2 遺伝子を光らす
    • 2-3 Green Fluorescent Proteinはなぜ光るか?
  • 第3章 限界を破る超光学顕微鏡
    • 3-1 近接場顕微鏡
    • 3-2 共焦点顕微鏡(立体像の構築)
    • 3-3 2光子励起蛍光顕微鏡
  • 第4章 光による究極の操作・観察
    • 4-1 1分子蛍光イメージング法
    • 4-2 ナノメーターの動きを測る
    • 4-3 光ピンセットによる1分子操作
  • 語解説/付 表:光技術に関連したURLリスト
放射光が脚光を浴びている.紫外線からX線にかけての強い光源として多数の放射光施設が建設され,相次いで利用に供されている.日本でも放射光利用研究の歴史は長いが,分子研の UVSOR,高エネルギー機構のPF ,そして播磨の SPring-8 と各エネルギー領域を代表する施設が登場し,この分野の研究開発は飛躍的に発展した.生物科学・生命科学の分野では,おもにX線領域が利用されているが,タンパク質の構造解析からがんの診断まで大きく広がっている.この巻ではそれらのさまざまな利用の状況を分かりやすく紹介し,将来への夢を語る.
  • 序 章 放射光とは
  • 第1章 放射光による新しい構造生物学の展開
    • 1-1 生体超分子システムに迫る
    • 1-2 放射光の特徴を生かした多波長異常分散法
    • 1-3 タンパク質の動きを見る
    • 1-4 吸収スペクトルからタンパク質の局所構造を探る
    • 1-5 機能中のタンパク質の振る舞い
  • 第2章 放射光による生体イメージング
    • 2-1 X線顕微鏡でどこまで見えるか
    • 2-2 X線位相コントラスト法による生体組織のイメージング
    • 2-3 単色X線CT
  • 第3章 医学診断と治療に活躍する放射光
    • 3-1 マイクロビームによる生体組織診断
    • 3-2 放射光による心臓血管造影
    • 3-3 がんの診断と治療に役立つ放射光
  • 用語解説
本シリーズは,生物物理学特有のエッセンスをわかりやすく伝える入門書として,特に生物物理学的測定・解析法,理論モデルの原理と意義について具体例や豊富な図を使って解説し,多少とも難解な箇所はコラムとして分離するなど参考書なしでも読み通せるように配慮している.
生命現象に重要なタンパク質はサイズや柔らかさの違いなど極めて多様性に富んでいるが,一方でアミノ酸配列がまったく異なるのに類似性をもつこともある.この立体構造の構築原理を解明するためにどのようなアプローチで研究を進めているのだろうか?
  • 序 章 生命現象を規定するタンパク質のかたちと物性
  • 第1章 タンパク質のかたちの多様性と類似性
    • 1-1 新しいタンパク質分類学
    • 1-2 立体構造の予測
    • 1-3 タンパク質集合体の対称性
    • 1-4 膜タンパク質の構造
  • 第2章 タンパク質のフォールディング機構と構築原理
    • 2-1 フォールディング機構
    • 2-2 フォールディング中間状態
    • 2-3 フォールディング反応に関与するシャロペニン
    • 2-4 フォールディングの計算機実験
    • 2-5 タンパク質の熱力学的安定性
    • 2-6 タンパク質の水和
  • 第3章 タンパク質の動的特性
    • 3-1 タンパク質という複雑系へのアプローチ
    • 3-2 分子シミュレーションによるダイナミクスの観察
    • 3-3 タンパク質結晶構造解析に見るダイナミクス
    • 3-4 X線溶液散乱および中性子線散乱による動態の観測
    • 3-5 NMRによる分子内運動の観測
構造生物学は生命現象=生物の機能を生体高分子の構造,ひいてはその高分子をつくりだす遺伝子から解き明かそうとしている.遺伝子がどのように振る舞いその結果どう作用するのか,次世代生物学としての期待がふくらむ.
  • 序 章 構造から機能へ
  • 第1章 遺伝子のふるまい
    • 1-1 DNA複製
    • 1-2 DNA複製におけるクランプ分子の機能
    • 1-3 DNAの再編成にかかわる構造体
    • 1-4 組換え機構
  • 第2章 遺伝子発見のダイナミズム
    • 2-1 シグナル伝達と転写制御
    • 2-2 転写活性化
    • 2-3 転写後調整
    • 2-4 スプライシング
    • 2-5 RNA編集
  • 第3章 核酸とタンパク質の相互作用
    • 3-1 DNAとタンパク質の相互作用
    • 3-2 相互作用と構造ブロック
    • 3-3 RNAとタンパク質の相互作用
タンパク質や核酸といった生体高分子の立体構造とその生物的機能との関係を解釈する研究分野=構造生物学が隆盛をきわめている.どのような方法で構造を決めているのだろうか?得られた構造をどう評価しているのだろうか?
  • 序 章 構造生物学とそれを支える解析法
  • 第1章 X線結晶解析法
    • 1-1 解析法
    • 1-2 膜タンパク質
    • 1-3 インターフェロン,サイトカイン
    • 1-4 抗体
    • 1-5 核酸および核酸-タンパク質複合体
    • 1-6 ウイルス
  • 第2章 電子顕微鏡法
  • 第3章 中性子溶液散乱法
  • 第4章 核磁気共鳴法
    • 4-1 解析法
    • 4-2 転写因子とDNAとの複合体
    • 4-3 カルシウム結合タンパク質リカバリン
    • 4-4 SH3によるプロリンに富む配列の認識
    • 4-5 固体NMRとその利用
  • 第5章 振動分光法
  • 第6章 X線吸収分光法
生体運動の分子メカニズムの研究は,半世紀にわたり多くの科学者の興味を引き続けてきた.近年の顕微鏡技術の進歩・立体構造の解明・人工運動システム・1分子操作システムの導入により,遂に分子モーターの働く仕組みが解明されようとしている.
  • 序 章 分子モーター研究の新展開
  • 第1章 多様な生体機能を担う分子モーター
    • 1-1 最高速で動く植物細胞モーター
    • 1-2 鞭毛・繊毛ダイニン
    • 1-3 微小管系モーターの多様な運動
    • 1-4 回転するATP合成酵素
  • 第2章 分子モーターの構造を解く
    • 2-1 分子モーターの立体構造
    • 2-2 X線でとらえた分子モーターの形態変化
    • 2-3 電子顕微鏡で見た分子モーターの構造
    • 2-4 原子間力顕微鏡で見た分子モーター
  • 第3章 分子モーターの働きを見る
    • 3-1 組換えミオシンモーター
    • 3-2 光学顕微鏡でとらえた分子モーターの揺らぎ
    • 3-3 ミオシン分子モーターの特殊な機能
  • 第4章 分子モーターのメカニズムを探る
    • 4-1 分子モーターの滑り速度と分子摩擦
    • 4-2 化学エネルギーを運動に変える仕組み
生体膜を貫通するタンパク質=イオンチャネルは細胞応答のあらゆる場面に登場する第一級の分子である.研究方法・働きとその原理・生理的重要性を専門外の読者が抱く疑問点に答えるかたちで解説する.
  • 序 章 イオンチャネルとは
  • 第1章 イオンチャネルの研究法
    • 1-1 電気生理学的手法
    • 1-2 生化学的・薬理学的手法
    • 1-3 分子生物学的手法
  • 第2章 イオンチャネルの生物物理学
    • 2-1 生物のもつチャネルの構造と機能
    • 2-2 モデルチャネルの構造と機能
    • 2-3 イオン透過の物理学
    • 2-4 チャネルゲーテリングの物理学
    • 2-5 人工チャネルへの夢
  • 第3章 イオンチャネルの生理学
    • 3-1 感覚を生みだすイオンチャネル
    • 3-2 運動を制御するイオンチャネル
    • 3-3 脳機能を支えるイオンチャネル
    • 3-4 心臓・血管系のイオンチャネル
    • 3-5 分泌と消化を担うイオンチャネル
    • 3-6 疾患とイオンチャネル
生物が生存競争に生き残るためには外部刺激を的確にキャッチし適切な行動をとることが必須条件である.そのため発達した高感度で特異的なスーパーセンサー.この多種多様なセンサー(レセプターと情報伝達系)が系統づけられ新たな展開を始めようとしている.
  • 序 章 生物のスーパーセンサーの新展開
  • 第1章 感覚センサー
    • 1-1 光のセンサー
    • 1-2 味のセンサー
    • 1-3 匂いのセンサー
    • 1-4 音のセンサー
  • 第2章 体の中のセンサー
    • 2-1 神経のセンサー
    • 2-2 ホルモンのセンサー
    • 2-3 体を守るセンサー
    • 2-4 生物時計のセンサー
  • 第3章 生物の多様なセンサー
    • 3-1 バクテリアの光センサー
    • 3-2 バクテリアの温度センサー
    • 3-3 植物の光環境センサー
  • 第4章 生物に学ぶ人工センサー
    • 4-1 酵素・免疫のバイオセンサー
    • 4-2 信号伝達のバイオセンサー
電気生理学と静的解剖学が中心であった脳研究にイメージング技術が導入され目をみはる発展が進行している.生きた細胞や分子の微細胞構造を観察することを可能にしたこの技術の動向・技術的基盤・将来の方向を紹介し,命と心の新しい謎解きの世界へと誘う.
  • 序 章 バイオイメージングの基礎
  • 第1章 光学顕微鏡
    • 1-1 光学顕微鏡入門
    • 1-2 ビデオ強化顕微鏡
    • 1-3 共焦点レーザー顕微鏡と2光子励起レーザー顕微鏡
    • 1-4 光近接場顕微鏡
    • 1-5 光ピンセット
  • 第2章 電子顕微鏡
    • 2-1 電子顕微鏡によるバイオイメージングの基礎
    • 2-2 クライオ電子顕微鏡
  • 第3章 変わり種顕微鏡
    • 3-1 X線顕微鏡
    • 3-2 シンクロトロン放射光による動的X線回折
    • 3-3 原子間力顕微鏡
  • 第4章 脳とシステムを見る
    • 4-1 膜電位顕微鏡
    • 4-2 蛍光顕微鏡
    • 4-3 脳機能のイメージング(PETとMR)
超複雑なシステムである脳・神経系の解明は従来の分析的アプローチの積み上げでは著しく困難である.これを克服する新しい総合的アプローチ(神経生理学-工学の融合・計算論的神経科学など)とはいったいどのようなものだろうか?
  • 序 章 数理モデルにより脳・神経系を理解する
  • 第1章 細胞電気信号の発生機構
    • 1 細胞膜の構造と機能
    • 2 化学電池,表面電位と膜電位
    • 3 活動電位の発生と膜電流固定法
    • 4 膜電位固定法による膜電流の測定
    • 5 活動電位の伝播
    • 6 イオンチャネルのゲート機構
  • 第2章 シナプス伝達
    • 1 化学伝達物質
    • 2 化学伝達物質の生成と貯蔵
    • 3 化学伝達物質の放出
    • 4 化学伝達物質の受容と生理応答の発現
    • 5 化学伝達物質の拡散,取り込み,分解
  • 第3章 細胞膜のイオン電流モデル
    • 1 イオン電流機構のモデル化
    • 2 イオン電流モデルによる解析
    • 3 シナプスモデル
  • 第4章 網膜細胞の数理モデル
    • 1 網膜の情報処理機構
    • 2 網膜神経細胞の数理モデル
    • 3 網膜外網状層モデル
    • 4 数理モデルによる網膜応答の解析
  • 第5章 視覚系の構造と機能
    • 1 網膜像のもつ情報
    • 2 視覚情報の表現と特徴抽出
    • 3 機能の違いによる構造の分子
    • 4 コラム構造
  • 第6章 ニューラルネットモデル
    • 1 ニューロンからニューラルネットへ
    • 2 学習のモデル
    • 3 多層ニューラルネットモデルと誤差逆伝搬法
    • 4 Hebb学習
  • 第7章 視覚の計算論モデル
    • 1 Marrの計算理論
    • 2 不良設定問題
    • 3 視覚大脳皮質の計算理論
  • 終章 脳・神経情報処理機構の解明を目指して
ヒトにとって最も身近でありながら難しい謎だった心のメカニズム.神経科学と脳のソフトウェアに迫る計算機科学の急速な進歩により脳と心の問題が自然科学の対象なりつつある.心の解明を大胆に追求し,読者を脳と心の生物物理学に誘う挑戦の書.
  • 序 章 脳と心の解明を目指して
  • 第1章 脳と心の哲学論争と現代脳科学
  • 第2章 心の進化
    • 2-1 細胞に心はあるか
    • 2-2 下等動物の心
    • 2-3 高等動物の「心」
    第3章 心の物理像
    • 3-1 神経回路の同期と意識の結合問題
    • 3-2 脳のカオス理論
    • 3-3 心の論理構造
    • 3-4 心の量子論
    第4章 心をもつ機械
    • 4-1 人工知能と心
    • 4-2 ニューラルネットと心
    • 4-3 ロボットに意識をもたせる試み
    • 4-4 バーチャル・リアリティと心
動植物の野外での生活を調べる学問=生態学にゲーム理論など数理モデルやコンピュータシミュレーションで迫る新しい生態学=数理生態学への招待.マクロな生命に生物物理学はどこまで迫れるのだろうか?
  • 序 章 数理生態学への招待 (巖佐 庸)
  • 第1章 ダイナミックスと共存
    • 1-1 森林動態の格子モデル (久保拓弥)
    • 1-2 種の共存と生息地の構造 (竹内康博)
    • 1-3 環境変動と生物拡散 (難波利幸)
    • 1-4 競争と共存 (重定南奈子)
  • 第2章 進化
    • 2-1 実験生態系での共存と進化 (津田みどり)
    • 2-2 種は連続ニッチ空間で離散分布する (佐々木顕)
    • 2-3 利己的な遺伝子が織りなす食物連鎖網 (松田裕之)
    • 2-4 ホストとパラサイトの共進化 (池上高志)
  • 第3章 適応戦略とゲーム
    • 3-1 動物の社会行動とゲーム (山村則男)
    • 3-2 子育てにおける闘争 (瀬野裕美)
    • 3-3 植物の繁殖戦略 (酒井聡樹)
  • 第4章 エコシステム学
    • 4-1 生態系とエントロピー  (青木一郎)
    • 4-2 生態ネットワークと情報 (平田廣則)
    • 4-3 生物資源管理と経済学
ヒューマンゲノム計画は、ヒトをはじめとした各種生物が持つ全遺伝子のカタログと全遺伝子産物(タンパク質およびRNA)のカタログを作り出す。すなわち生命系を構成する部品のカタログは近い将来にほとんど見いだされるだろう。しかしながら、部品がわかっても、部品間のつながり、つまり結線図のようなものが解明されなければ、生命のシステムとしての働きを本質的に理解することはできない。実験的にも理論的にもヒューマンゲノム計画をこのような観点から捕え、本書ではミクロ生物学からマクロ生物学へと、全体を3つの章に分けて構成した。本書はゲノム解析に関する他の図書と比較して、第1にゲノムの機能的な側面に、そして第2に理論的な側面に重点を置いている。
  • 序 章 ヒューマンゲノム計画とニューバイオフィジックス
  • 第1章 ゲノム解析による疾病遺伝子の探索
    • 1-1 ポジショナルクローニング
    • 1-2 タンパク質コード領域予測
    • 1-3 ホモロジー検索
    • 1-4 データベースとインターネット
  • 第2章 プロテオーム解析によるタンパク質機能の推定
    • 2-1 2次元電気泳動を用いたスキャンディスク法
    • 2-2 配列モチーフと機能分類
    • 2-3 球状タンパク質の分類
    • 2-4 膜タンパク質の分類
  • 第3章 ネットワーク解析による情報伝達機構の解明
    • 3-1 タンパク質相互作用の系統的解析をめざして
    • 3-2 代謝系の演繹データベース
    • 3-3 細胞内局在化の知識ベースシステム
    • 3-4 進化のダイナミックス
学士院恩賜賞対象研究・集大成の書
蛋白質の「自然による絶妙なる設計物」としてのおもしろさを探求しながら,ダイナミックな像と働きを浮き彫りにする.20世紀は量子力学に代表されるミクロな原子世界を支配するルールと, DNA二重らせんに代表される生物情報(=蛋白質一次構造)を支配するルールとを,人類が共に知り得た画期的な時代である.このふたつを結び付けることにより,われわれはすべての蛋白質の働きをミクロ世界のルールに基づきて解き明かすことができてもよいはずではないか?本書は,さらにこのような疑問にも答えを与える.
  • 第1章 蛋白質の運命-生成から崩壊まで
  • 第2章 機能を支える立体構造-ヘモグロビンにみる超精密設計
  • 第3章 立体構造はどのようにしてできるのか?
  • 第4章 立体構造-その設計原理を捜せ!
  • 第5章 どこまで進むか?蛋白質の人工設計
「生体膜」研究の問題意識およびアプローチの方法とその結果を明快に示し,その機能を構造と関連づけて記述してある.20世紀後半の生体膜モデルの確立,単一分子解析から単一細胞での解析,再構成膜系での解析へと進み,「脳研究の世紀」といわれる21世紀へつながる生き生きとした研究展開を感覚的に理解できるように工夫してある.ホットな話題がどこにあるか,こんなことがわかった,こんなことがわからない,など具体的な例をあげて興味のある例を示した.
  • 第1章 生体膜とは何か
  • 第2章 イオンチャンネル
  • 第3章 イオンをくみ出す仕組み-イオンポンプ
  • 第4章 信号伝達
  • 第5章 細胞内膜輸送とエンドサイトーシス
  • 第6章 膜をいじる
  • エピロ-グ
最近,分子1個を高精度で見て操作する技術が開発され,生命科学の研究にブレークスルーをもたらそうとしている.この技術を使って,生物分子機械は人工機械とはまったく異なるナノピコの世界で働いており,そのしくみも本質的に異なることが示される.分子機械の動作は,例えば,コンピューター素子と比べると一見極めてあいまいで百万倍もゆっくりしている.しかし,それが構成する細胞や脳はコンピューターなど人工機械では達成できないようなすばらしい働きをする.なぜだろうか?分子機械のあいまいさに柔軟な生物システムの原点を探る.
  • 第1章 生物分子モ-タ-とは
  • 第2章 ATP加水分解反応とエネルギー論
  • 第3章 遺伝子工学手法を使った生物分子モーターの構造の研究
  • 第4章 1分子イメージング
  • 第5章 分子モ-タ-1個のナノメートルの動きを見る
  • 第6章 分子モ-タ-1個のATP加水分解・力学反応の同時測定
  • 第7章 タンパク質の動的多形性を1分子に観る)
  • 第8章 DNAモ-タ-
  • 第9章 ゆらぎで働くメカニズム-生物らしいモ-タ-機能とは-
  • コラム タンパク質研究の中のモ-タ-タンパク質
  • おわりに 柔軟な生物システムの原点に迫る
私たちの脳の中でおきている現象を観察できるイメージング法が発達してきており,見たり,聴いたり,匂いや味を感じたり,触れたとき脳にどの様な変化が起きるのかが間もなく分かろうとしている.知覚研究の新しい展望を前にして,そのセンサーである感覚器のメカニズムがどこまで分かっているかを明らかにする.また,私たちは5感を通じて,多様な情報を得ている.最近の生物物理・分子生物の研究により,これら異なった情報を受け取るセンサーを構成している情報伝達分社お互いに驚くばかり似ていることが明らかになった.本書では知覚のセンサーの普遍性を分子レベルで理解しようとする.
  • 第1章 知覚のセンサーの普遍性と多様性)
  • 第2章 見る感覚
  • 第3章 においの感覚
  • 第4章 味の感覚
  • 第5章 聴く感覚
  • 第6章 触る感覚
  • 第7章 感覚器の発生学
  • 第8章 感覚情報の分子進化 レセプターとトランスジューサーの分子進化
DNAから生物の進化まですべての物質が原子や分子からできていることを突き止め、物質間に働く力の作用を解明して大きな成果をあげた現代物理学の手法を、同じく原子・分子からできている私たち生物に対しても適用し、複雑な生命の成り立ちをより原理的に解き明かそうとするのが生物物理学です。これによって、タンパク質、DNA、細胞と生体膜、脳と神経、筋収縮と生体運動、生物が光を捕らえる仕組み、進化など、生命活動の要となっている現象がどこまで解明されたのか、最新の成果をやさしく紹介します。
  • 生物物理の世界
  • タンパク質とDNAの素顔
  • タンパク質はどう働くのか
  • 細胞と生体膜の働き
  • 生物が光を捕らえる仕組み
  • 神経と脳
  • 筋収縮と生体運動
  • コンピュータートモグラフィー(CT)
  • 進化のもたらした生物
  • 生物物理の夢