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2017年06月26日 掲載 (Published 06/26/2017)


大阪大学蛋白質研究所セミナー
膜イオン輸送の学際研究 ―計算科学から医学までー

日時:2017年7月27日(木)~28日(金)
会場:大阪大学 蛋白質研究所 1階講堂
世話人:岡村康司(阪大)、鷹野優(広島市大)

趣旨:
膜イオン輸送は、バクテリアからヒトに至るまで生存に必須の機構であり、エネルギー産生、神経シグナル、体液恒常性維持などの生体機能に本質的な役割を担う。例えばプロトンを輸送するタンパク質は数百種にものぼり、バクテリアの遊泳、ミトコンドリアのエネルギー産生、神経伝達物質の放出、食作用など、適材適所に多様なプロトン輸送タンパク質が関わる。一日150リットルもの体液を再吸収する腎臓の尿細管上皮には多種のイオンチャネル、交換体、ポンプが極性をもって存在し、ダイナミックに連携しながら電解質バランス、酸塩基平衡の調節を実現する。
近年のゲノム科学、タンパク質科学の目覚ましい進歩により、これら膜イオン輸送を担う分子のほとんどが同定され、構造生物学の展開によって数多くの立体構造が明らかになりつつある。更に高分解能で構造が明らかにされたタンパク質についてMDシミュレーションなどの計算科学による解析が展開しつつある。一方、膜イオン輸送タンパク質のアミノ酸配列の異常は重篤な心疾患、神経疾患、筋骨格系、呼吸器、感覚器の疾患に繋がる。こうした医学研究から逆に膜イオン輸送タンパク質そのものの動作原理がより深く理解される例もでてきた。このように膜イオン輸送の分野は、今や、計算科学、構造生物学、ゲノム生物学などの基礎科学から、創薬や臨床医学に至るまで、ボーダーレスなものになりつつあり、かつてないエキサイティングな時代に入っている。しかし各研究アプローチの深さ故、アプローチの融合は必ずしも容易とは言えないのが現状である。
本研究会では、膜イオン輸送に関して、計算科学、細胞生物学、生理学、臨床医学の研究者を集め、かつてなかった学際研究の交流の場を提供し、日本発の新たな融合研究を発信する端緒とすることをめざす。

プログラム:
7月27日(木)
13:00-13:10  所長挨拶 中村 春木(阪大)
13:10-15:10
 不整脈家系から同定した心臓GIRKチャネルの新規変異と機能異常-新規薬物治療の可能性-
 山田 憲明(阪大・院医)
 リアノジン受容体チャネルの機能異常と筋・心疾患
 村山 尚(順天堂大・医)
 TRPチャネルのレドックス制御とその生理的意義
 森 泰生(京大・院工)
15:30-17:30
 カリウムチャネルのゲーティングモディファイアとしてのKCNEタンパク質の出現と機能進化
  中條 浩一(大阪医大・医)
 KcsAカリウムチャネル膜相互作用のための一分子実験法
  老木 成稔(福井大・医)
 膜イオン輸送モデルを統合した心室筋細胞モデルと臓器モデルへの応用
  天野 晃(立命館大・生命科学)
17:30-17:50 総合討論
  岩城雅代(名工大)、神取秀樹(名工大)、近藤寛子(広島市大)、中川敦史(阪大)、藤原祐一郎(阪大)

-懇親会-(18:00-20:00)

7月28日(金)
9:00-10:20
 計算科学は膜イオン輸送の実験をどこまで再現できるか?:K+チャネルでのイオン透過
  炭竈 享司(福井大・医)
 クライオ電子顕微鏡により明らかになった好熱菌V-ATPaseの構造
  光岡 薫(阪大・超高圧電顕センター)
10:40-12:00
 脂質膜を隔てた情報変換をとらえるクライオ電子顕微鏡単粒子解析法
  重松 秀樹(理研・CLST)
 液体の積分方程式理論による膜イオン輸送の解析
吉田 紀生(九大・院理)

-Lunch-(12:00-13:20)

13:20-14:40
 MDシミュレーションによるタンパク質動的性質の解析手法
  米澤 康滋(近大・先端技総研)
 マグネシウムチャネルMgtEのATP依存的開閉調節機構
  服部 素之(復旦大・生命科学)
15:00-16:20
 神経伝達物質受容体を可視化・制御するための化学的アプローチ
  清中 茂樹(京大・院工)
 ヒト脳のタンパク質は長寿命か?:生体内タンパク質turnoverの測定法開発 
  御園生 裕明(同志社大・脳科学)

連絡先:
中川敦史 〒565-0871 吹田市山田丘3-2 大阪大学 蛋白質研究所
Tel: 06-6879-8635  Fax: 06-6879-4313

email:atsushi@protein.osaka-u.ac.jp
迷惑メール対策のため、メールアドレスの(at)を@に置き換えてください。 (Please use at sign instead of (at).)
URL:http://www.protein.osaka-u.ac.jp/wp-content/uploads/dlm_uploads/2017/06/program.pdf