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Vol. 66 No. 4(通巻386号)記事一覧

巻頭言

生物か物理か選べない
冨樫 祐一

解説

過渡回折格子法による光受容タンパク質の構造変化の時分割追跡
中曽根 祐介,寺嶋 正秀

光受容タンパク質は,発色団の光化学反応を起点に局所から全体へと構造変化を伝播させ,多様な機能を生み出す.本稿では,その構造変化ダイナミクスを時間分割で計測できる過渡回折格子法の原理を紹介し,BLUFタンパク質やロドプシンへの応用例によりその有用性を示すとともに,これからの発展・展開について議論する.

細胞内のコレステロール輸送メカニズム
内藤 朋樹,佐伯 恭範

動物細胞においてコレステロールは主要な脂質成分のひとつであり,その恒常性の維持は生命活動に不可欠である.コレステロールの分布と量は,細胞膜や細胞内小器官での輸送によって精密に制御されている.近年の研究により明らかになってきた,細胞内の膜接着部位におけるコレステロール輸送の分子メカニズムを解説する.

総説

タンパク質とATPの分子シミュレーションと水分子モデル
森 俊文

ATPのハイドロトロープとしての役割に近年注目が集まっているが,分子シミュレーション中では高濃度のATPは過剰に凝集してしまう.本総説では,水分子モデルを調節することがシミュレーション中でのATP凝集の制御に有効であるという成果について紹介し,高濃度ATPがタンパク質の挙動を制御する分子機構をシミュレーションで調べるのに,今後何が必要かについて紹介する.

遺伝子摂動による細胞運命変化の予測法の開発
神元 健児

複雑な細胞と遺伝子制御システムの理解や合理的操作にはモデル化や予測が求められる.我々は,遺伝子の操作に対する細胞の状態変化を予測する,データ駆動型のモデル化と予測手法CellOracle を開発した.本総説では,遺伝子制御と細胞運命ダイナミクスのモデリングに関する我々のアプローチと関連するトピックを紹介する.

トピックス

細胞骨格の細胞内力学
谷本 博一,折井 良太

細胞内構造の力学は,細胞生物学と物理学の間に広がる未開拓の研究分野である.本稿は細胞内構造の実験的な力学研究の現在地を紹介する.

祖先型タンパク質の復元から探るシアノバクテリア概日時計の進化的起源
向山 厚,古池 美彦,秋山 修志

現生のシアノバクテリアは,概日時計を利用して昼夜の環境サイクルを予測し,光合成活性を最大化している.本稿では,分子進化のアプローチを駆使して,シアノバクテリア概日時計が辿った進化の道筋を明らかにした著者らの研究について紹介する.

タンパク質の構造サンプリングから創薬へ
森次 圭

近年の計算創薬では,構造サンプリングにより得られる多様なタンパク質受容体構造を活用した,高精度かつ合理的な設計手法が進展している.本稿では,生体分子の構造変化経路を効率的に探索する「重み付きアンサンブル法」を概説するとともに,コロナウイルス3CLプロテアーゼにおける基質結合・解離過程への応用例を紹介する.

ミトコンドリア内膜融合反応の試験管内再構成
伴 匡人,小柴 琢己

ミトコンドリアの融合と分裂は,その機能と密接に関連することから,作用機構の解明が進められている.本稿では内膜融合の分子機構解明を目的とした膜融合反応の試験管内再構成および,解析から得られた膜融合タンパク質OPA1 と足場タンパク質プロヒビチン1の役割について紹介する.

談話室

キャリアデザイン談話室(36):URA職でイキイキと生きる
寺川 まゆ

リレーエッセイ:シン・私が影響を受けた論文(14):「生命の物理」:生物学理論の探究
巌佐 庸

支部だより ~研究室紹介および小倉年会のお知らせ~
椎村 祐樹,森本 雄祐

若手の会だより ~時代の変わり目で考えること~
千葉 元太

海外だより ~私の幸福,ときどきバンクーバー(前編)~
谷内江 望

書評 入門 ソフトマター物理学
渡邊 千穂

編集後記
山本 哲也(会誌編集委員)

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