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Vol. 61 No. 5(通巻357号)記事一覧

解説

細胞のばらつきはノイズではなく情報である
和田 卓巳, 廣中 謙一, 黒田 真也

細胞応答のばらつきはこれまで一律にノイズと見なされてきた.細胞応答のばらつきは,細胞内変動と細胞間変動に分けられる.細胞間変動はノイズではなく,細胞ごとの個性の違いを利用して細胞集団として応答の多様性が増す効果(応答多様性効果)があり,逆に情報量を増やす.

3次元ゲノムDNA動態のレオロジー特性
新海 創也

ゲノム実体としてのクロマチン繊維は細胞核内に収められた生体高分子である.Hi-C法で明らかになったゲノム3次元構造は,生細胞内での動的ゲノム状態とどのように結びついているのだろうか?本総説では,Hi-Cデータから解読できるゲノムDNAのレオロジー特性に関して,その背景と概要について紹介する.

Ir(III)錯体のりん光寿命計測による細胞内酸素分圧測定法の開発
吉原 利忠

酸素は好気性生物の生命活動の源として必要不可欠な物質であるにも関わらず,細胞内における酸素濃度(分圧)計測法は確立されていない.本稿では,イリジウム錯体を用いたりん光プローブ分子とりん光寿命計測法を組み合わせた細胞内酸素分圧計測・イメージング法について,著者らの研究成果を中心に紹介する.

光を化学エネルギーに変換する人工細胞の創出
車 兪澈

バクテリオロドプシンとATP合成酵素をリポソーム膜に組み合わせて,光を使ってATPを合成する人工オルガネラを構築した.これを無細胞系とともに巨大膜小胞に内封することで,光依存的にタンパク質を合成する人工細胞を構築した.分子と遺伝子から生きた細胞を構築する人工細胞研究の発展について紹介する.

希少糖結晶の熱容量と相転移挙動
山村 泰久, 深田 和宏

プシコース等の希少糖の生理機能の発現機構の理解には熱力学的な基礎物性を明確にする必要がある.本稿では,断熱法により極低温から室温付近までの広い温度範囲で測定した希少ケトヘキソース結晶の熱容量を例に,熱力学関数,相転移,熱容量のスペクトル解析による情報抽出について調べた研究を紹介する.

タンパク質天然変性領域が実現するヌクレオソーム結合能の「超高感度応答性」機構
楯 眞一

クロマチン構造変換因子FACTのDNA結合ドメインを構成する天然変性領域は,多重リン酸化を受ける.FACTのヌクレオソームに対する結合能は,天然変性領域に対するリン酸化の程度に応じてシグモイダルに変化する「超高感度応答性」を示す.本稿は,超高感度応答性を実現する分子機構とその生物学的な意味を議論する.

蛍光イメージングで見えてきた大腸菌の異なる運動様式
木下 佳昭, 曽和 義幸

遊泳細菌の多くはべん毛を回転させることで自由自在に水中を移動する.その代表的な運動は,大腸菌のラン―タンブル切り替えによる走性応答であろう.ところがである!べん毛の研究にも用いられる大腸菌K-12株の最初の単離株は全く異なる運動様式を示していた.本稿では本発見を支えたべん毛の顕微計測を紹介したい.

トピックス

アブラナ科植物の自家不和合性における自他識別機構の構造生物学
村瀬 浩司, 高山 誠司

植物は自家不和合性と呼ばれる自己の花粉を拒絶し,非自己の花粉で受粉する性質をもつ.私達はアブラナ科植物の自家不和合性を制御するリガンド・受容体複合体の立体構造を決定し,MDシミュレーションを用いてリガンド・受容体による自他識別のメカニズムを解明した.本稿ではその概要を紹介する.

自然免疫DNAセンサーcGASが自己の染色体DNAによって不活性化されるメカニズム
鯨井 智也, 胡桃坂 仁志

自然免疫DNAセンサーcGASは,ウイルスなどの外来の非自己DNAに対して応答して活性化される一方で,自己の染色体DNAに対しては応答を回避しなければならない.本稿では,我々が決定したcGAS-ヌクレオソーム複合体の立体構造を中心に,ヌクレオソームによるcGAS不活化機構について紹介する.

トピックス(新進気鋭シリーズ)

計算科学的手法によるヘム輸送体の構造変化の解析
田村 康一

バクテリアのヘム輸送体BhuUV-Tは,大規模な構造変化により細胞膜を介したヘムの輸送を行う分子機械である.近年,輸送サイクルの分子論的描像を確立するために結晶構造解析が行われた.本研究では,先の実験では得られなかった分子構造を計算科学的手法によりモデリングし,状態数比を計算することで,構造変化の実態に迫った.

Molecular Swarm Robot Realized by the Intelligence of a Biomolecular Motor System and DNA
Jakia Jannat KEYA, Akinori KUZUYA, Akira KAKUGO

魚や鳥,あるいは社会性昆虫がつくる群れの行動原理の解明や群れの応用を目指したシステムとして群ロボットがある.拡張性の観点から群ロボットのサイズダウンが望まれている.本稿ではロボットに必要な三要素(センサ,プロセッサ,アクチュエータ)を生体分子モーターやDNAなどを用いて組み上げた“群れる分子システム”を紹介する.

1細胞自律的な細胞内温度制御の分子機構
村上 光

近年の1細胞温度計測により,個々の細胞が自らの温度を制御していることが示唆されたが,その制御機構については謎が多く残されている.生体膜の流動性を調節する仕組みは細胞の低温適応のために重要であることが知られてきたが,今回,ミトコンドリアの熱産生を介した細胞内温度の制御に寄与していることが見出された.

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