
種名: Escherichia coli
京都大学白眉センター 西山雅祥
タンパク質に高い圧力をかけると,水との相互作用が変わるため,タンパク質の分子構造や機能をコントロールすることができる.この原理を用いた高圧力顕微鏡法を用いて、生きた細胞内で働くべん毛モーターの回転運動を観察した。走化性応答因子CheYを欠失した大腸菌では、モーターが反時計方向に回転するのに対して、高圧力下では、逆向きに回転するモーターがあらわれた。1200気圧下では(Movie)、逆に回るモーター(赤色)の他にも、どちら向きにも回る(緑色)、同じ方向に回り続ける(青色)、回転を停止する(黒色)モーターが見られた。高圧力下では、あたかもリン酸化型CheY が結合したかのようにモーターの構造が変化してしまい,その結果,本来は回るはずのない時計方向に回転したと考えられる。
High Hydrostatic Pressure Induces Counterclockwise to Clockwise Reversals of the Escherichia coli Flagellar Motor (Journal of Bacteriology, 195(8) 1809-1814 (2013))
バクテリア・べん毛モーターが高圧力下で逆向きに回り出す!?(生物物理 53(5) 264-265 (2013))
(2014.02.27)