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第2回Biophysics and Physicobiology Editors’ Choice Award
(旧BIOPHYSICS Editors’ Choice Award)

日本生物物理学会では、前年に欧文誌Biophysics and Physicobiology誌に掲載された論文(依頼論文は原則対象外)の中から、編集委員会による選考を経て、生物物理学に寄与するユニークな論文に対して、「Biophysics and Physicobiology Editors' Choice Award」を授与します。
下記の通り受賞論文が決定いたしましたので、ここにお知らせします。

“Mapping of the local environmental changes in proteins by cysteine scanning”
Yoichi Yamazaki, Tomoko Nagata, Akihisa Terakita, Hideki Kandori, Yoshinori Shichida, Yasushi Imamoto
BIOPHYSICS, Vol. 10, pp.1-7 (2014)

【受賞理由】
本論文では、システイン・スキャニングとFTIR分光の高度な組み合わせにより、蛋白質の局所的な構造/環境変化の高感度検知と、そのマッピングを両立するという斬新で強力な手法を確立した。生命科学上重要な蛋白質GPCRを対象とし、その機能発現に関与する分子内プロセスの解明を目的にしている点、手法に汎用性があり、多様な蛋白質への幅広い応用可能性をもつ点から、重要かつ将来性の高い研究であると評価される。

“Microscopic heat pulse-induced calcium dynamics in single WI-38 fibroblasts”
Hideki Itoh, Kotaro Oyama, Madoka Suzuki, Shin’ichi Ishiwata
BIOPHYSICS, Vol. 10, pp. 109-119 (2014)

【受賞理由】
本論文は、WI-38フィブロブラストに熱パルスを加えることで、温度依存性の細胞内Ca2+濃度変化が、小胞体に存在するCa2+ ATPaseならびにIP3Rによって引き起こされることを、正常細胞において世界で初めて示した。本論文の素晴らしい点は、ガン細胞ではなく正常細胞で成果を出している点であり、これは特筆すべきことである。本論文の成果は、熱パルスによるCa2+バーストが、Ca2+ ATPaseとIP3Rを通るCa2+の流入・流出に関する温度依存性のバランスが崩れることで成り立っていることを明らかにしている。

“Electrophysiological characteristics of feeding-related neurons after taste avoidance Pavlovian conditioning in Lymnaea stagnalis”
Hiroshi Sunada, Satoshi Takigami, Ken Lukowiak, Manabu Sakakibara
BIOPHYSICS, Vol. 10, pp.121-133 (2014)

【受賞理由】
モノアラガイの味覚嫌悪学習では、条件刺激が咀嚼運動を、無条件刺激が引っ込み運動を引き起こし、この2つの刺激の組合せによって、条件刺激が咀嚼運動を抑制するようになる。本論文ではこの神経基盤を解析したところ、引っ込み運動に関わる神経細胞が咀嚼運動の上流に位置する神経細胞に対して、学習後にいわばネガティブフィードバックを掛けることが示された。本論文は学習記憶機構の神経機構研究における、大きな成果だと称賛できる。

受賞者には、第53回年会の懇親会(9月14日(月)、金沢東急ホテル)にて、賞状と記念品を授与いたします。

2015年6月
Biophysics and Physicobiology編集委員会

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