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コロイド先端技術講座2021  「先端バイオ計測技術・研究から学び,コロイド界面化学のあらたな見方を探る」

2022年01月25日 会合

主催:日本化学会 コロイドおよび界面化学部会
協賛:日本生物物理学会ほか

日程:2022年2月8日(火) オンライン(ZOOM)にて開催

講座URL:https://colloid.csj.jp/202201/2021hitech/

コロイド界面化学の継続的な発展による社会貢献のためには,さまざまな分野との積極的な交流が求められます.2021年度先端技術講座では,バイオ領域とのさらなる積極的な連携を視野に,当該領域,なかでも特に,最先端計測技術開発分野における著名な研究者による5件の講演の機会を設けることとしました.最先端バイオ計測技術・研究に触れることで,これらをコロイド界面化学分野に積極的に導入し,コロイド界面の「あらたな見方」を探るきっかけやヒントを掴み取る機会としましょう.

プログラム
「開催にあたり」
日光ケミカルズ(株) 小倉 卓 氏

「クライオ電顕の最前線 — 水素の可視化とその先の解析—」
東北大 米倉 功治 氏
クライオ電子顕微鏡(EM)は技術革新を経て大きく発展した。私たちは、干渉性の高い電子ビームを発生する冷陰極電界放射型(cold field emission gun; CFEG)の電子銃を備えた国産クライオEMシステムの運用・高度化のための技術開発を進めてきた。このシステムでは、より高い分解能の単粒子解析に加え、微小結晶からの高精度な電子線三次元結晶構造解析(3D ED / マイクロED)という二刀流の実現を目指した。両手法によるタンパク質から薬剤候補物質、有機材料分子などの構造解析例、水素原子の可視化やさらなる高精度解析に向けた取り組みついて紹介したい。

「走査電子誘電率顕微鏡による溶液中のコロイド粒子や生物試料の直接観察」
産業研 小椋 俊彦 氏
これまで走査電子顕微鏡を用いて水溶液中のそのままの生物試料や有機材料を直接観察することは極めて困難でした。今回開発した走査電子誘電率顕微鏡では、水溶液中の細胞やバクテリア、溶液状態のエマルジョン等を10nm以下の空間解能で直接観察することが可能です。本観察方法では、電子線入射にともなう微小領域の電位変化を検出し、水とサンプルの比誘電率の差によりコントラストが形成され、極めてクリアな画像を得ることが出来ます。さらに電子線は、試料ホルダーの薄膜面へと入射し、吸収されるため、電子線ダメージも軽微です。本方法により生きた生物試料やナノ粒子の形状や分散状態を水溶液中で直接観察することが可能となります。

「動的X線散乱による角層機能解明」
名古屋産業科学研究所 上席研究員 八田 一郎 氏
化粧品に関する広告を目にすることが多い.人々の関心事であり,有効性の評価法は多様であり,さらにはDNAに基づく皮膚構造には個体差があり一筋縄ではいかない課題でもある.化粧品開発を行うに当たって,分子レベルの知見を得るためには皮膚最外層の角層でのX線回折実験は欠かせない.角層は細胞間脂質,角層細胞から成り,さらに微少領域では長周期ラメラ構造,短周期ラメラ構造,ソフトケラチンやその他の分子集合体を形成する.角層に化粧料等を作用した時のそれら複雑な構造の変化を高感度で検出するために動的X線散乱による研究が有効である.いくつかの例を挙げて構造変化からいかに機能をひも解くかについて説明する.

「ナノピペットを用いた細胞膜表面の超解像度イメージング」 
名大 高橋 康史 氏
細胞表面では、細胞外からの物質の取り込みや放出を行うことで、細胞の恒常性を維持している。その変化は、ナノスケールであるために、細胞が生きた状態でこの取り込みの際の形状変化をとらえることは困難であった。そこでナノピペットをプローブとして利用し、細胞表面の形状変化をナノスケールで捉える走査型イオンコンダクタンス顕微鏡(SICM)の独自開発を行い、細胞外物質の取り込み過程であるエンドサイトーシスや、ペプチドの取り込み、微絨毛のダイナミックな構造変化を捉えた。

「Nanoparticles meet Organized soft assemblies : Challenges and opportunities for the biomedical field」
University of Florence, Department of Chemistry Debora Berti 氏
The combination of inorganic nanoparticles (NPs) with organized natural or synthetic lipid assemblies has the potential to expand both our understanding and the applicative spectrum of these materials in the biomedical field. This contribution will deal with hybrid systems composed of NPs and extracellular vesicles, (EVs). EVs are a major player in intercellular communication and mediate physiological and pathological processes. I will show how some central colloidal properties of EVs’ dispersions can be monitored leveraging the properties of NPs, by introducing a nanoplasmonic assay for fast purity checking and a plasmon-based nanoruler for collectively fingerprinting EVs based on their stiffness.

参加費:部会員10,000円 日化・協賛学会員15,000円 非会員20,000円 学生(部会員)3,000円 学生(非会員)5,000円

参加申込 URL:https://csjcolloid202202.peatix.com

参加費支払:Peatixによる決済(クレジットカード、コンビニ決済等)

要旨集事前送付受付期限:2022年1月30日(日)これ以降もお申込みは受け付けますが、要旨集の配送が間に合わない事があります。

問い合わせ先:日本化学会 コロイドおよび界面化学部会


Email:jigyoukikaku_02(at)colloid.csj.jp
迷惑メール対策のため、メールアドレスの(at)を@に置き換えてください。 (Please use at sign instead of (at).)



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