市民講演会

「世界物理年にあたり、生命を新しい視点から解き明かす」

日時: 11月26日(土) 13:30 - 16:00(開場:13:00)
会場: 北海道大学学術交流会館大講堂
(JR札幌駅から徒歩7分、北大正門そば)
主催: 日本生物物理学会、北海道新聞社
共催: 北海道大学21世紀COEプログラム トポロジー理工学の創成
世界物理年日本委員会

※参加費無料(定員300名)。多数のご参加をお待ちしております。


応募方法

オーガナイザー: 新田 勝利(年会実行委員会委員長)
 ヒトゲノム解読完了以降、目まぐるしい進歩を遂げている生命科学の分野において、物理学の果たす役割の大きさは申すまでもありません。生命現象を物理的な観点からアプローチするという点で、今後生物物理学分野は非常に期待されている分野であります。世界物理年を記念して、本学会を代表する講師をお迎えして、21世紀を担う高校生と社会人に向けて、興味深く尚且つ分かりやすいお話をしていただく予定です。

「遺伝子と運命」と生物物理(13:30〜14:40)
美宅 成樹(名古屋大学 大学院工学研究科 教授)
 <私たちの運命はどのくらい遺伝子で決まっているのだろうか?>という疑問は、生物の本質に迫る大きな問題提起となっています。私たち(生物)は、環境の中で生きており、環境の影響もきわめて大きいからです。生物物理学という学問分野では、主に生物らしい分子の物理化学的性質を研究していますが、生体内の分子の働きもまた、遺伝情報と環境の両方から強い影響を受けています。
 21世紀の科学は、生物の深い階層の全てにおいて、遺伝子と環境の関係を解き明かしていくと期待されますが、そのための分子レベルでの物理的アプローチを簡単に紹介したいと思います。

(休憩:14:40〜14:50)

「単細胞アメーバの情報処理」
中垣 俊之(北海道大学 電子科学研究所 助教授)
 他人から「単細胞」などと言われたら不愉快ですよね。ところが必ずしもそう感じる必要はないかもしれません。真正粘菌変形体という単細胞アメーバ生物が、迷路の最短経路を探し当てることがわかったからです。意外と侮りがたい粘菌の賢さは果たしてどれほどなのでしょう? 脳も神経もないのにどうやって答えを導き出しているのでしょうか? 粘菌の底知れぬ計算能力や、その計算方法についてお話したいと思います。

「北の自然からの贈り物 −不凍タンパク質−」
津田 栄(産業技術総合研究所 北海道センター・
北海道大学大学院理学研究科 客員教授)
 私達は、ワカサギやカレイなどの普段私達が食べている魚をはじめ、小麦、 キノコ、昆虫(クワガタムシ)など北海道に生息しているたくさんの生き物に 「不凍タンパク質」と呼ばれる物質が含まれていることを発見しました。これまでに、生物物理学の最新の研究手法を使って不凍タンパク質の成分や能力を 調べた結果、この物質は生き物が凍え死んでしまう温度(零度C)になると細 胞などの含水物を強力に保護して生命活動を持続させるという、驚くべき能力 をもつことが分かってきました。講演では、この研究の最新状況と不凍タンパ ク質の温暖化防止技術への応用可能性等についてもお話ししたいと思います。

(16:00 終了)

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